今回は、東京農業大学短期大学部 醸造学科 穂坂 先生からのご紹介していただき、醤油の研究がご専門の醤油博士 東京農業大学 短期大学部 醸造学科 調味食品学研究室 教授 舘 博さんに登場して頂くことになりました。
http://www.nodai.ac.jp/j_brew/index.html
まずは、舘先生の研究室、調味食品学研究室がどんな研究をしているのか教えていただきました。こちらでは、味噌、醤油、醸造に関する研究をされているそうです。先生は、おもにお醤油の研究を担当。
日本の大学でお醤油の研究をされているのは舘先生だけだそうです。大学に入学、研究室時代から研究をはじめ、30年近くお醤油の研究をされているそうです。すご〜い!!
そんなお醤油博士 舘先生に、お醤油について教えていただきました。まずは原材料。みなさん、お醤油の原材料わかりますか?大豆、小麦、食塩、水が原材料なんですよ。
そして、お醤油ができるまでを詳しく教えてもらいます。大豆と小麦に、麹菌というカビををはやし、はやしたものを醤油麹といいます。醤油麹を食塩水につけて、半年おくと醤油ができあがるんですが、食塩水につけたときにもろもろした感じになるんですね。それをもろみと言うそうです。みなさん、もろみ見たことありますか?私、見たことがありますが、本当にもろもろしていました。(笑)
さて、ここで微生物くんたちがわっしょい。わっしょいと発酵熟成で醸してくれるわけですが、日本の暑くてじめじめした気候。これを先人たちは逆手にとって、カビで物を作るという醸造という技術を確立しました。
カビは自分で生きていくために、体の外に酵素をばらまきます。でんぷんだったらブドウ糖、タンパクだったらアミノ酸。バグバグ食べて成長していくわけです。その麹菌の作る酵素で原料を分解。塩水につけた段階で、麹に含まれている麹菌の酵素が原料を分解していって大豆、小麦がこまかく低分子化していきます。
出てきたたぶどう糖、アミノ酸を乳酸菌がバクバクたべ増殖。そして乳酸発酵して乳酸という排泄物を出す。これがたまってくると乳酸菌は生きていけなり死んでしまいます。その次に、乳酸菌が乳酸発酵すると、PHが下がるので、こんどはPHが低くて食塩の中で生きていける醤油酵母が増殖。
醤油酵母はブドウ糖をバクバク食べてアルコール発酵。そして炭酸ガスを出します。醤油の酵母が頑張っているときは醤油のもろみがぶくぶくしているんです。(私も見ましたが、確かにぶくぶくしていました!)そして、麹菌、乳酸菌、酵母の力で醤油ができあがります。
このように、お醤油はさまざまな微生物の働きでできるわけですが、舘先生は世界で始めて麹菌の新しい酵素を発見!92年、イギリスの雑誌に報告。酵素が醤油醸造のうまみを作るカギ酵素だということを証明して、日本醸造協会技術省を受賞されました。
このあとは、お醤油の歴史についてもお勉強。醤油のルーツは醤(ひしお)といわれています。塩をまぜて保存を高めた食品。誰が考えたかわからないけれど、塩を使うと保存食になる、肉醤(ししびしお)と言い、肉を塩を混ぜたものこれがルーツといわれています。
いまだ醤(ひしお)にあらず、未醤(みしょう)、これが発展したものが味噌といわれているそうです。味噌の桶にたまった汁が独立してお醤油になったと考えられています。最初は、味噌のたまり。たまり醤油だったのが、江戸にあった醤油濃い口醤油が生まれました。
現在、日本農林規格で決められている醤油は5種類。生産量の80%が濃い口です。お醤油の香りですが、いろいろな微生物が関わっており、酵母がアルコール発酵。乳酸菌が乳酸発酵します。アルコールと酸がくっついたのが香りの成分。今わかっているだけで300種類。お醤油の中には、バニラの香り、バラの香り、フルーツの香りがまじっているそうなんです。でも、いい香りですよね〜。
最後はお醤油の正しい保管方法を教えていただきました。
先生の研究室では、この保管方法について、現在、技術開発、商品開発が進んでいるそうです。その研究についても紹介していただきました。
この続きは、8月11日(土)エフエム世田谷の放送を聞いてみてください。