令和四年二月 NPO法人農業情報総合研究所
「さんぶどう園」との出会い
東京二十三区内、世田谷区、目黒区以外に、ぶどう園があると知ったのは平成二十七年、農業専門紙に掲載されていた板橋区のぶどう狩りの記事を読んだのがきっかけでした。都市農業の取材を初めてから、世田谷農業や同区の農家さんにお話を伺う機会はあっても、板橋区の農業については情報がなく、収穫体験、農家さんにお会いする機会がありませんでした。板橋区で唯一のぶどう園「さんぶどう園」では、六十年ほど前からぶどうを栽培されていることがわかりました。また、SNSを活用。ツイッターから開園、直売情報を発信されています。
「さんぶどう園」に、ぶどう狩りに行こうと思ったのは板橋区成増にオープンした成増農業体験学校に通っていたときのことです。農業体験学校のある最寄り駅から、ぶどう園が近いことがわかったからです。ちょうど、農作業体験終了後なら十分間に合いそうなので行ってみることにしました。成増農業体験学校での体験については別途ご紹介しますが、平成三十年、板橋区内の農業者の高齢化、後継者不足に対応するため、農業の魅力づくりによる継承を行いつつ、板橋区の農業者の支援活動が担える人材の育成を目指して作られました。
ぶどう狩りの概要
国際興業バス「大門竹の子公園前」下車すぐ。入園料無料。受付でカゴとハサミを受け取ります。あとは、自由に園内のぶどうを収穫することができます。つまみぐいは出来ませんので注意しましょう。ぶどうの品種は、シャインマスカット、巨峰の二種類。平成三十年は、スチューベンという品種もありました。ぶどうは量り売りです。受付で精算。現金払いとなります。
ぶどう狩りを体験してみて
平成三十年、目黒区、世田谷区、板橋区のぶどう狩りに行きました。板橋区の「さんぶどう園」さんには、バスに乗り農園に向かいました。最寄りの停留場で降りると、すぐに看板が見えました。園内に入ってみると、傘掛け、袋掛けされたぶどうが目に飛び込んできました。品種によって色分けされているようです。どうして、こんな風に紙をかけてあるのかを調べてみると、ぶどうに雨があたってカビが生えないように傘のようにかけられているのが傘掛け。鳥獣、害虫から守るためにぶどうを丸ごと袋に入れるのが袋掛け。いずれも、ひとつずつ手作業で行います。これを知り、ぶどう作りの大変さを理解することができました。
袋に隠れているぶどうを、どうやって選ぶのか不思議ですよね。それは、袋掛けされた下の部分が切れていて中のぶどうが見えるようになっているのです。つまり、下からのぞき込むようにしてぶどうを見て選びます。どれにしようか迷いながら、大きなぶどうを選ぶのも楽しい体験です。
小学生のお子さんだと、ぶどうの下から見上げればぶどうの大きさが見えます。園内では。お母さんと一緒に来た小学生が、どのぶどうにするか一生懸命選んでいました。他にも、三世代でぶどう狩りを楽しんでいる家族がいらっしゃいました。もぎとったぶどうを精算後、園内に置かれてテーブルを囲んでみんなで美味しそうに食べていました。私も収穫したぶどうを早く食べてみたくて、バスの中でまわりに気づかれないようにこっそり食べてみました。口の中いっぱいに甘さと爽やかな酸味が広がりました。ジューシーな美味しいぶどうに、思わず笑顔になりました。
ぶどう作りの大変さ
ぶどうを守るために傘掛けや袋掛けをつけても、長雨、日照不足により、ぶどうが病気になったり、キズがついたり、大きさにも影響があるようです。令和二年は、強風、長雨、日照不足で休園となり区内にあるファーマーズショップでぶどうが販売されました。令和三年は、開園前の長雨でぶどう狩りは中止となりシャインマスカットの直売だけとなりました。農園のツイッターから、ぶどう狩り中止、直売のお知らせ情報が発信されると、それを見た人が、ぶどうを買いに行き四日間で完売。私も、直売所でシャインマスカットを2つ購入することができました。農家さんが一年間大事にぶどうを育てても、天候はコントロールできない難しさがあること。自然とどう向き合っていくのか。農業の難しさを学ばせていただくことができました。今年は、農園でぶどう狩りができるのを楽しみにしています。
農園情報
さんぶどう園 板橋区大門
ぶどう狩り 毎年八月後半から九月上旬
開園情報 さんぶどう園のツイッター掲載
予約不要
https://twitter.com/dl_acx